最近(H20年4月)テレビでも紹介された、「お口にピッタリ吸い付く」マグネット義歯をご存知ですか?磁石ってピッタリ吸い付いてなかなか離れませんよね。この力を入れ歯の維持装置に応用したのがマグネット義歯です。
今までのバネ式の維持装置(クラスプ)と違って遊びが無いので、はずれたり、動いたりという不快症状が減少します。当院の患者様のお話では、マグネット3つで、おもちを食べても落ちないそうです。
マグネットの数が増えれば、維持力は強大となりますが、まずは今お使いの局部義歯のクラスプを1つマグネットに取り替えるだけで、その効果は実感できると思います。
マグネット使用義歯を新製すると原則的には保険適用外になりますが、これならばマグネット装置の費用と義歯の修理代だけで済みます。(当院ではマグネット装置1つ当たり\55,000です)
使用中のクラスプ義歯を修理して |
クラスプとマグネット併用の |
Mさんは平成9年に初診で来院されました。当時54才でしたが、子供の時から歯科恐怖症で上の前歯以外は歯科治療を受けた経験はありません。
来院時20本の歯が残っていましたが、重度の虫歯のため上の前歯2本、下の前歯5本以外の13本は歯冠部がとけてしまい残根状態でした。
下顎は残根2本を抜歯し、健全な前歯5本をそのまま使ってチタン床の部分入れ歯を入れました。
上顎は残念ながら前歯3本しか保存出来ませんでした。上顎の場合、少数残存歯にバネをかける部分入れ歯よりは、むしろ総入れ歯の方が安定するので、あえて歯の頭の部分(歯冠部)を切断、除去し、残根上総義歯とし、残根には金属製のキャップを付けただけです。(H9年11月装着)Mさんは長年、見た目の問題とほとんど咬む事が出来なかったので、非常に満足していただきました。
以降10年間、定期検診にもおいでいただき、今の状態で充分快適だとおっしゃっていたのですが、もっと快適な食生活を送っていただきたいと考え、残存歯へのマグネット装着と、口蓋(上顎のドーム状の内側の部分)部分の義歯の削除、(無口蓋化)を提案しました。Mさんへ同意を得て、上顎の残根歯の金属キャップをマグネット装置に置換え、入れ歯の口蓋部分を大きくカットした、無口蓋総義歯を新たに作成しました。
10年間、上顎のほとんどの部分を覆っていた口蓋部が無くなった事で、装着感が大幅に改善し、「まるで、入れ歯を入れてないみたい。よく咬めるし改適です。」とおっしゃってくださいました。
上顎の装着状態 |
義歯外観 |
マグネット2個を |
この症例は、残根にマグネットを装着する事により可能となりました。
旧義歯 │ 新義歯 |
義旧義歯 │ 新義歯 |
この症例は、残根にマグネットを装着する事により可能となりました。